ニュースの要約
9月13日、海外の中長期投資家による日本株売りが続いている。9月第1週には売り越し額が拡大し、ドルが国内企業の多くが今期の想定とする145円付近を下回ったことで、売りが強まったとの警戒感が浮上している。基調的な円高が落ち着くまでは海外勢から腰の入った買いは入りにくく、指数の上昇力が削がれる可能性がある。
市場への影響
目次
日本市場への影響
- 売り越し額の拡大:
- 9月第1週(9月2日─9月6日)の海外投資家による日本の現物株の売り越し額は8235億円。
- 3週連続の売り越しとなり、現物の売り越し規模は今年最大。
- ドル/円の動向:
- ドルが145円を下回ったことがトリガーの一つ。
- 日銀の6月短観によると、事業計画の前提となる想定為替レートは2024年度通期で1ドル=144.77円。
- トヨタ自動車の通期の前提レートは145円。
日本株への影響
- 中長期投資家の動向:
- 7月第2週までの現物の買い越しは4.6兆円と高水準だったが、7月第3週から第5週の3週間では一転、海外勢は現物で計1.3兆円を売り越した。
- 9月第1週には大幅売り越しとなった。
- 為替の影響:
- ドル/円が145円を下回ると、為替による企業業績の上振れ期待が後退しやすい。
- 円高が進んで140円を割り込む場合、業績予想の下方修正への警戒感も生じ得る。
- 投資家の心理:
- 今年前半の株高の起点が円安だったことから、為替が株価に影響するという強い印象を投資家に植えつけている。
- 円高で日本株の先行きに失望する投資家がいる一方、デフレ脱却という30年来の変化を見据えてチャンスをうかがう投資家もいる。
その他市場への影響
- 機関投資家のリバランス売り:
- 機関投資家が保有する株式のポートフォリオに占める比率が、円高で押し上げられたことによる機械的なリバランス売りが膨らんだ。
- 年金基金などは、株式や債券などの保有比率をリスク管理の観点から一定に保つ必要がある。
来週には日銀の金融政策決定会合とFOMCが控えており、日米の両会合を通じて「為替が落ち着いてくるかどうかが重要」との見方がある。
提供:
Reuters